BELL AH-1Z

戦闘ヘリコプター「ヴァイパー」が、太平洋で展開するアメリカ海兵隊の新戦力に

戦闘ヘリコプター「ヴァイパー」が、太平洋で展開するアメリカ海兵隊の新戦力に

15 May 2017
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戦闘ヘリコプター「ヴァイパー」が、太平洋で展開するアメリカ海兵隊の新戦力に

【米海兵普天間隊航空基地(沖縄県)】 太平洋沿岸で活動するアメリカ海兵隊は、これから世界最新鋭の戦闘ヘリコプターによる支援を受けることになる。

在日米海兵隊普天間航空基地で、8機のAH-1Z ヴァイパーの配備が開始されたのは昨年11月末のこと。海兵隊職員からの情報によると、老朽化しつつあるAH-1W スーパーコブラ飛行隊を恒久的に刷新するためであり、さらに多数のAH-1Z ヴァイパーが追加配備される予定だという。

過去数年間にわたり太平洋で散発的な活動を見せてきたAH-1Z ヴァイパーが、今回、太平洋地域において初めての恒常的に配備されることになる。

アメリカ海兵隊のパイロットが星条旗新聞に語ったところによると、ヴァイパーの魅力はAH-1Wスーパーコブラを上回るスピード、パワー、防御性能だ。

またヴァイパーは燃料、兵器、弾薬の積載能力も先代機を凌駕しており、より遠くから標的を識別して攻撃することが可能である。

同機を製造する米国テキストロン社傘下のベルヘリコプターによると、AH-1Z ヴァイパーは完全統合型の空対空ミサイル攻撃能力を備えた世界唯一の戦闘ヘリコプターであるという。

海兵隊職員からの情報によると、大半のスーパーコブラはすでに沖縄県を離れており、飛行隊の移行は5月頃に完了する見込みだ。第267海兵軽攻撃ヘリコプター飛行隊の部隊長を務めるジョン・リビングストン中佐が印象を語ってくれた。

「もうたくさんの人に話していますが、ウイスキー(W=スーパーコブラの別称)からZへ移行するのは、ほとんど騙されたような感覚でした。新しい機体の能力が、それほど先代機を大幅に上回っているのです」

ヴァイパーの主な役割は、偵察任務の護衛、敵軍戦車の破壊、兵員の輸送などである。敵兵の種別にあわせた兵器も搭載可能だ。

海兵隊職員の話によると、同機はアメリカ海兵隊の上陸作戦や多様な環境での活動に必要不可欠な存在となる。

ヴァイパーの機体には腐食防止の設計となっており、洋上での戦闘に対応するために2発のエンジンで運航される。アメリカ海兵隊は、主にヴァイパーを海上攻撃などの近接航空支援で運用することになる。一方、アメリカ陸軍における戦闘ヘリコプターは、戦車と同様に陸上からの独立した作戦行動の一要素として運用されている。

安全第一

アメリカ海兵隊に所属するヴァイパーの操縦士によると、ヴァイパーには驚くべき性能がある。そのひとつが、潜在的な安全性の問題が深刻化する前に識別して対処する能力であるという。

まだ短期間の運用実績ながら、ヴァイパーは10万飛行時間あたりのクラスA事故率がゼロという安全性能を誇っている。クラスA事故とは、米軍が使用している事故の指標で、死亡事故、重傷事故、資産の損害を含む重大な事故を示すカテゴリーである。

即応能力や訓練時間に関する懸念が高まり、アメリカ海兵隊航空団が厳しい視線にさらされるようになった近年の状況のなかで、同機の安全性に関する記録は突出している。

ちなみに10月から2月まで、アメリカ海兵隊航空団全体における10万飛行時間あたりのクラスA事故率は約8件であった。

1月20日、1機のヴァイパー AH-1Zが沖縄県の伊計島に予防着陸した。墜落事故を恐れる島の住民に動揺を与えてしまったものの、この着陸によってヘリコプターの優れた性能が証明されることになったと操縦士が語っている。ヴァイパーには、新しい離着陸場の上を飛行する際に安全性を診断できる機能が備わっているためだ。

この予防着陸をおこなう間、操縦士はコックピットの警告表示によって安全に着陸できる場所を即座に特定し、事故を未然に防ぐことができた。

スーパーコブラとは異なり、ヴァイパーはコンピューター制御によって飛行する。乗組員が飛行データをダウンロードして整備チームに渡すことで、整備チームは不規則な事象をすぐに特定することができる。

この飛行データは統合データベースにもアップロードされ、航空団ごとに比較して監視される。テスト段階からヴァイパーの開発に関わり、航空団の航空機整備担当官を務めるロバート・バン少佐が説明してくれた。

「これまでの軍の経験では、何か異変が起こっていたとしても実際に異状が確認されるまで問題の存在に気づくことができませんでした。それが今ではデジタル分析によって、操縦士でも気付けないような異変を教えてもらうことができるのです」

余裕を生み出す判断時間

バン少佐と同僚の操縦士たちによると、最大の強みは改善されたヴァイパーのセンサー「ターゲット・サイト・システム」であるという。かつてのアメリカ海兵隊の戦闘ヘリコプターでは、機体が目標のほとんど真上に到達するまでセンサーが標的を識別できなかった。そのため操縦士は、次の行動に移るまでにわずか数秒間の猶予しか与えられていなかったのである。リビングストン中佐によると、今では操縦士に数分間の猶予が与えられるようになった。航空団で安全と標準化を監督するダニエル・ヒポル少佐がこう語る。

「我々の任務にも、わずかながら恩恵がもたらされました。標的をより簡単に探し出すことができて、敵軍から今までよりも長い距離をとった状態で任務を遂行できます。そんなことからも、全体として先代機より優れたヘリコプターだと思っています」

ヴァイパーはスーパーコブラよりも多量の燃料を積載できるので、飛行時間も30分以上長くなった。追加の燃料タンクを搭載すれば、おそらくスーパーコブラの航続時間を1時間は上回るだろうとバン少佐は語る。スーパーコブラはどんなに無理をしてもヘルファイアミサイルを8本しか搭載できなかったが、ヴァイパーは16本まで搭載できるのだという。

「これだけの量の兵器に見合うほど、たくさんの標的は本当にあるのかい? そんな冗談もしばしば飛び出すくらいですよ」

AH-1Z ヴァイパーには、性能向上したランディングギア、複合材でできた4枚ブレードの回転翼システム、4枚羽のテールローターが搭載されている。スーパーコブラはそれぞれ2枚ずつである。

海兵隊職員の情報によると、多用途及び攻撃ヘリコプターの近代化を目的とした米海兵隊のH-1代替えプログラムの一環として今回の機種更新がなされたとのこと。同プログラムでは、UH-1Y ヴェノムがUH-1Nツインヒューイの更新機となり、普天間基地の第36海兵航空群には、すでにUH-1Y ヴェノムが駐留している。

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